【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。
2016/05/26
「……私でよければ、ご一緒に……」
「……」
……また、部屋は静まり返った。オラも、下手に喋れなくなっていた。
二人揃って、居間に立ったまましばらく黙り込む。でも、何だかこのままじゃいけない気がした。
震える口に力を込めて、ゆっくりと口を開いてみる。
「……あ、あのさ……」
「……は、はい……」
「……今度よかったら、二人で――――」
―――プルルルル
「―――ッ!」
「―――ッ!」
突然、静かな部屋に電話の音が鳴り響く。体をビクリとさせたオラ達は、すぐに音の方を振り返る。
「な、なんだ……電話か……」
一度彼女に目をやる。彼女は、頬を桃色に染めて、困ったような笑みを浮かべていた。
何だか照れ臭かったオラは、少し重い足取りで電話に向かった。
「……はい、野原ですが……」
「――聞いてよしんちゃん!!」
受話器を耳に当てるなり、叫び声が耳を貫いた。
咄嗟に受話器を耳から離し、改めて話をする。
「……ま、まさおくん?」
「そうだよしんちゃん!――それより、聞いてよ!!」
まさおくんは、かなり慌てていたようだ。
「どうしたのさ、いったい……」
「あのね!僕、ねねちゃんに告白したんだ!!」
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「……マジで?」
「マジだよ!大マジだよ!!そしたら、ねねちゃん、言ってきたんだ!“好きな人がいる”って!!!」
(……あちゃー)
思わず、手を頭に当て上を見上げた。
「とにかく、詳しい話はいつものファミレスで話すから!!すぐ来てよ!!―――ガチャリ」
まさおくんは、一方的に電話を切断した。
(……こりゃ、面倒なことになるぞ……)
まさおくんは、ねねちゃんが好き。でもねねちゃんは、ぼーちゃんが好き。
なるほど、とても面倒な構図になっている。高確率で、嵐が吹くだろう。
「……どうか、しましたか?」
気が付けば、あいちゃんが後ろに立っていた。
「……ああ、ちょっとまさおくんが相談があるって」
「まさおくんが?」
「うん。オラ、ちょっと行かなきゃ……」
「……そう、ですか……」
彼女は、残念そうに表情を暗くした。――かと思えば、すぐに明るい表情を浮かべる。
「……私も、ご一緒します!」
「え―――?」
彼女の目は、ただオラを見つめる。それを見ていたら、何だか笑みが溢れて来た。
「……うん、一緒に行こうか!」
「はい――!」
そしてオラ達は、玄関を飛び出していった。
……こうして、オラ達の日常は積み重ねられていく。
人生では、出会いがあって、別れがある。出会いと別れは表裏一体で、それは寂しいことだ。
でもその中で、きっと手に入れる素晴らしいものがある。それは心の中に残り、生きる力に代わるんだ。
――そしてまた人は前に進み、新たなものと出会うんだろう。
「――少し急ごうか!あいちゃん!」
「はい!しんのすけさん!」
オラは彼女と、街の中を駆けて行く。とても暖かくて、安らげる手を握りながら。
オラ達の物語は、これからも続いて行くのだろう。……いや、きっと今から始まるんだと思う。
――また新しい、物語が………。
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