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【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。

      2016/05/26

園内をオラ達は歩く。

あれだけ広かった建物は、時々屈まないといけないところがあった。こうやって大人になって見てみると、やはりどこか小さい。

それでも、この空気に触れるだけで、どこか心が躍る。

「……ここが、桜田先生のクラスですよ」

「ここが……」

オラとまさおくんは、窓から中を覗きこむ。

「――はーい!じゃあ次は、紙芝居の時間ですよー!」

「ええ!?もっと歌いたい!!」

「私もー!」

「僕もー!」

「ごめんねぇ。今日はもうお歌は終わりなの。また明日ね」

「えええ…」

「ぶーぶー!」

「ゴチャゴチャ言ってないで紙芝居始めますよー」

子供たちの文句を押し切り、ねねちゃんは強引に紙芝居を開始していた。

「……なんか、ねねちゃん、すごくパワフルですね」

「まあ……ね……。口は少々悪いですが、それでも園児からは慕われていますよ」

「……ねねちゃん……カッコいい……」

続いてオラ達が案内されたのは――

「ここが、河村先生の教室です」

「河村……チーターの……」

オラとまさおくんは、教室の中を覗き込んだ。

「河村先生!絵ができたよ!」

「お!すごく上手だね!先生すごく驚いちゃったよ!」


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「河村先生!手伝って!」

「手伝うのはいいけど、最後は自分でしなきゃだめだよ?」

「河村先生!僕も!」

子供たちは、しきりにチーターを呼んでいた。そこにいるのは、間違いなく、生徒から慕われた優しい先生の姿だった。

「河村先生も、物凄く子供に懐かれていますよ。やさしくて、かっこよくて……人気の的なんです」

園長先生は、満足そうにそう呟く。

その姿で、ひとつ確信したことがあった。

チーターは、心に黒い一面があったり、裏の顔があったりしない。ありのままの姿を見せている。

子供は敏感だ。少しでも隠していることがあったり、得たいの知れない何かを持ってたりするなら、絶対にああして笑顔で近づくことはない。

ありのままの姿を見せているからこそ、子供たちは安心して、彼のもとに集まるんだ。

「……チーターは、いい先生ですね……」

「……ええ。本当に立派になりました。私は、彼の園長であったことを誇りに思います」

俺の言葉に、園長先生は幸せそうに返事を返した。

「……」

……一方まさおくんは、相変わらずこの世の終わりのような顔をしていた。

チーターの、あまりの眩しい笑顔に、圧倒されているように思えた。

(……哀れ、まさおくん、か……)

「――いっくよー!」

チーターは、子供たちに向けてサッカーボールを蹴る。きれいな放物線を描いたボールは、ワンバウンドして子供たちの方向に飛んでいった。

子供たちははしゃぎならボールを追う。実に、微笑ましい光景だった。

授業が終わったあと、幼稚園の校庭で、子供たちは先生たちと遊んでいた。

そしてそこには、普段はいない者の姿も……

「――いっくよー!」

まさおくんは、子供たちに向けてサッカーボールを蹴る。低い弾道のボールは、まったく別のあさっての方向に飛んでいった。

「もう!まさおお兄ちゃん!ちゃんと蹴ってよね!」

「うぅ……ご、ごめん……!」

まさおくんは半泣きになりながら、茂みの中に入り込んだボールを回収していた。

オラとまさおくんもまた、子供たちと遊んでいた。

子供と遊ぶのは、正直にいえば疲れる。彼らは疲れを知らず、全力で向かってきていた。

でも、その屈託のない笑顔と声は、自然と心を和ませる。悪くない。

「まさおくん、ちっとも変わっていないわね」

その光景を見ていたオラに、ねねちゃんは近づき話しかけてきた。

「……うん。そうだね……」

オラも微笑を返し、少しの間、校庭で遊ぶ子供たちと、子供と戯れるチーター、子供に翻弄されるまさおくんを見ていた。

「……なんだか、不思議じゃない?」

子供たちを見ていたねねちゃんは、ふと呟いた。

「不思議?」

「うん。――だって、今から20年くらい前には、あそこを走ってたのは、私たちだったのよ?」

「……ああ、そういうことね。そう考えたら、確かに不思議な感じがする」

「でしょ?……子供のころは、何も考えずにああやって走り回って……世の中なんてほとんど知らないのに、まるで全部分かってたかのようにリアルおままごとなんてして……。

――ほんと、子供だったわ……」

「……ああ、実はね、オラ達、ねねちゃんのリアルおままごとが少し苦手だったんだよ?」

「そうなの?」

「うん。だって、やっていて重かったし、もっと楽しいことをしたかったしね」

「言ってくれればよかったのに……」

「言えるわけないよ。ねねちゃん、怒ってただろうし……」

「……そんなに、私って怖かった?」

「うん。すっごく」

「はっきり言うなぁ……」

ねねちゃんは、ばつが悪そうに苦笑いをした。

「ハハハ…!ごめんごめん。――ただ、オラ達はずっと一緒だったね。リアルおままごとにしても、かすかべ防衛隊にしても……」

「かすかべ防衛隊かぁ……。懐かしいね」

「ケンカもしてたけど、あの毎日があったからこそ、オラ達はこうして今でも繋がってる。それって、すごく幸せなことだって思うんだ。

時間は色んなものを変えてしまう。建物だって古くなるし、オラ達にもそれぞれに立場や環境があって、昔みたいに集まることも難しいし。

――でも、それでも変わらないものもある。それが、今のオラ達なんじゃないかな……」

「……しんちゃん、ホントに変わったね。なんていうか、すごく大人になった感じ。実際大人だけど。

とても、昔お尻を出して走り回ってたようには見えないわね」

ねねちゃんは、少し意地悪そうにオラを見た。

「……ねねちゃん。それは言わないで……」

……ふと、思いついた。

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