【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。
2016/05/26
「は、はい……あの……」
「野原ひまわりさんという方は、ご家族におられますか?」
「はい。僕の妹ですが……」
「ああ、良かった!――課長!ご家族の方に連絡取れました!」
電話の向こうの相手は、誰かに報告していた。とてもガヤガヤしている。
……その様子は、以前経験したことがあった。
「あ、あの……」
「ああ、失礼。私、◯◯警察署の者ですが――」
「――」
目の前が、真っ白になった。
足の力は抜け、その場に崩れるように座り込んだ。
「大丈夫ですか!?」
「――え?あ、はい……それで、ひまわりは……」
「実は、ひまわりさんが事故に遭いまして……」
「……そ、それで、無事なんでしょうか――」
「……はい。命に別状はありません」
「そ、そうですか……」
身体中の緊張が、一気に解けた気がした。
だが警察官は、言いにくそうに続けた。
「――命に別状はありませんが……ただ――」
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「……え?」
「―――」
「―――」
……それ以降の会話は、よく覚えていない。
「――いやぁ!参っちゃった!」
「まったく……ケータイ忘れてた時に車に跳ねられるなんて……おかげで、警察官もお前が誰なのか分からなくて苦労したみたいだぞ?会社だって閉まってるし……」
「いやぁ、面目ない……」
「まあ、命が無事だっただけマシだよ」
「うん。そうだね」
ひまわりは、帰る途中に事故に遭ってた。
普段あまりものを持ち歩かない性分が災いし、確認に時間がかかってたとか。
とにかく、命が無事なら、今はそれでいい。
――ただ……
「……足は、どうだ?」
「……うん。感覚、ないんだ。たぶん、もう歩けないって……」
「そう、か……」
ひまわりは、歩けなくなっていた。
腰を、強く打ったらしい。
外見上では、彼女は悲観してはいないようだ。
母ちゃん譲りの明るさのおかげだろうか。
それでも、心の内は分からない。
「……あ、そろそろ検診の時間だよ」
「……分かった。後でまた来るよ」
「うん。……お兄ちゃん、ごめんね」
「なんでお前が謝るんだよ。生きてるだけで、本当に良かったよ」
「うん……」
そして、オラは病室を出る。
その直後、病室から、こもった声が聞こえてきた。
「……ひぐっ……ひぐっ……」
「………」
その声に、心は激しく痛む。
でもこれからは、オラがもっと支えないといけない。
そう決心し、ひまわりの声が漏れる病室を後にした。
ひまわりは、しばらく入院することになった。
その間、オラは家の整理をすることにした。
あいちゃんに、事情を説明ししばらく休みを取ることを告げた。
快く了承してくれたことに、本当に感謝してる。
おそらく、これから車椅子が主体となる。
ほんの少しの段差が、彼女にとって大きな障害だろう。
段差という段差に、片っ端からスロープをつける。
問題は、台所と洗面所、浴室だろう。
こればかりは、改築しないと無理だろう。
困り果てていた、その時――
「――ごめんください」
突然、誰かが訪ねてきた。
「はーい……って、あいちゃん?」
「ごきげんよう、しんのすけさん」
そこには、あいちゃんがいた。
「どうしたの、こんなところに……」
するとあいちゃんは、ニコリと笑みを浮かべた。
「しんのすけさん、実は、お話があるのですが……」
「話?」
「はい。我が酢乙女グループでは、介護用品にも力を入れています。その新商品が出来たので、テスト運用をしてもらいたいのです」
「テスト運用?」
「はい。――黒磯」パチン
あいちゃんが指を鳴らすと、家の中に、一台の車椅子が運び込まれた。
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