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【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。

      2016/05/26

「――ぷはぁー!生き返ったー!」

コップのお茶を一気に飲み干したむさえさんは、元気に話す。

「……それで?どうしたんですか、むさえさん?」

「え?あ、ああ……ちょっと、避難を……」

むさえさんの言葉に、オラは頭を抱える。もう、何度も聞いてきた言葉だった。

「……またですか。今度はなんですか?お見合いですか?」

「めんどくさそうに言うな!……まあ、父さんがお見合いを勧めてきたのは合ってるけどね……」

むさえさんは、少しばつが悪そうに呟く。

「そりゃそうでしょ。むさえさんも、いい加減結婚しないと」

「そうそう。むさえおばさんもいい歳でしょ?」

オラの言葉に、ひまわりが続く。

「と、歳の話はやめい!それに、おばさんって言うな!――私はいいの!写真に生きるの!」

……むさえさんは、プロの写真家になっていた。

たまに写真展を開いては、そこそこ儲けているらしい。ただ、元来適当な性格もあって、開催は不定期。今では完全に、放浪の写真家となっていた。

腕は認められてるのに、実にもったいないと思う。ただ、これだけ自然体だからこそ、いい写真が撮れるのかもしれない。

芸術家とは、かくも面倒な存在なんだろうな。


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「……まあ、身を隠すだけならいいけど。それに、いくら九州のじいちゃんでも、さすがにここにいるなんて……」

プルルル…

突然、家の電話が鳴り始める。

「……まさか……」

「……ひょっとして……」

「……う、ウソでしょ……」

オラたち三人に、緊張が走る。

ひまわりとむさえさんにアイコンタクトをした後、オラが電話に出た。

「……も、もしもし……」

「――ああ、しんのすけか。九州のじいちゃんたい」

「―――ッ!」

「むさえに伝えてくれんね。――いい加減、諦めて九州に戻れとな。頼んだばい」

そして、電話は切れた。

呆然とするオラに、ドアの陰に隠れたむさえさんがおそるおそる顔を覗かせた。

どうだった?――そう言わんばかりの顔をして、オラに注目する。

オラは静かに、親指を立て、アウトのジェスチャーを取る。

それを見たむさえさんは、一人、ムンクの叫びのような顔をするのだった。

「と、父さんにバレてたとは……」

むさえさんは、居間の中央で項垂れる。

「……まあ、親子ってことじゃないの?」

「さすが九州のじいちゃんね。むさえおばさんの行動パターンを読んでる……」

ひまわりは腕を組みながら、感慨深そうに呟く。

「――こうしちゃいられない!」

むさえさんは、さっさと荷物をまとめて玄関に駆け出した。

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