【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。
2016/05/26
「け、結婚!?だ、誰と!?」
「大学時代から付き合っていた彼女だよ。しんのすけくんにも、きて欲しいんだ。本当はまさおくんにも渡そうと思ったんだけど……渡す前に帰っちゃったし……」
チーターは困ったように笑みを浮かべた。やはり無駄にイケメン……
(――って、そんなことはどうでもいい!!)
「返事待ってるね。……じゃあ、僕はこっちだから。しんのすけくん、今日は本当にありがとう」
そう言い、爽やかな笑顔を見せたチーターは、手を振りながら帰っていった。
「……チーター、結婚するんだ……」
オラはしばらく、体に走った衝撃に身動きが取れなくなっていた。
「河村先生の奥さんってね、すごく美人なんだよ?まさに、お似合いのカップルって感じなの」
ねねちゃんは、笑顔でそう話す。
(まあ、あれだけイケメンなら、そうだろうけど……って、今はそうじゃない!!)
チーターは結婚する。それをねねちゃんは知っているようだ。
そして彼女は、むしろ祝福しているように見える。
……まさかねねちゃん、今の関係を崩したくないってのは、こういう事情があったからなのか?
だとするなら、彼女はどれだけ茨の道を進むのだろうか……
感傷に耽っていると、ふと、後ろから声がかかった。
「――しんちゃん。ねねちゃん」
どこかで聞いたことのある、緩い声。その声の主は……
後ろを振り返ると、そこにはぼーちゃんがいた。
「あれ?ぼーちゃん、今帰り?」
「うん。二人は、何してるの?」
「しんちゃん、今日、フタバ幼稚園に遊びに来てたのよ。……ねえぼーちゃん、せっかくだし、三人で帰りましょう」
「うん。帰ろう」
ぼーちゃんは、笑顔で返事を返す。
そしてぼーちゃんとねねちゃんは、オラの前を歩き始めた。
楽しそうに会話をする二人。
ぼーちゃんはさることながら、ねねちゃんの笑顔には、どこか見覚えがあった。
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――幸せそうに、朗らかに笑うその笑顔……それは、確かさっき幼稚園で見た……
(………………まさか……)
……オラは、いつから錯覚していたのだろうか。
ねねちゃんが気になっているのが、まさおくんかチーターである、と……
(………まさか……ねねちゃんが言ってた、“気になる人”って………)
オラの中で、バラバラのパズルのピースが、一つになった。
そんなオラの前を、ねねちゃんとぼーちゃんは並んで歩く。とても、幸せそうに……
……さすがのオラも、まさおくんに同情するしかなかった。
確実に彼は今、かすかべ一の、不幸な青年であるのだから……
オラ的まさおくんの悲劇から、1ヶ月ほどが経過した。
まさおくんは、いまだにねねちゃんの本当の気持ちに気づいていないようだ。
そういう言い方だと、実はねねちゃんがまさおくんを好きなように聞こえるが、そういうわけではない。
日本語とは、同じ言い方でも様々な意味合いを持つものだと、一言添えておくことにする。
さて、オラはというと、会社であいちゃんが重役会議に出席している間に、あいちゃんの仕事部屋の掃除をしていた。
もっとも、もともと綺麗な部屋なわけで、掃除といっても、ビッカビカの机をさらに磨き上げるように拭くしかないのだが……
それはそうと、最近あいちゃんの機嫌が悪いことが多々ある。
黒磯さんに強く当たるし、たまにオラにも飛び火している。いったいぜんたい何事だろうか。
会社の経営は順調そのもの。あいちゃんの企画した事業も大当たり連発。
その見事な手腕を発揮させ続ける彼女は、成功とは裏腹に、時折思いつめたような表情をしている。
ボディーガード(ほぼ執事)としては、少しばかり心配なのは、言うまでもないだろう。
オラがコーヒーを作っていると、重苦しい音を上げてドアは開かれ、あいちゃんは帰ってきた。
「………」
あいちゃんは、やはり不機嫌な様子だ。
一直線に椅子に向かい、どかりと重い音を鳴らしながら座り込む。
「……はあ」
そして、やはりここでため息を一つ。
このコンボは、最近のあいちゃんの鉄板なのだ。
「……お疲れ様」
そんなあいちゃんに、オラは笑顔でコーヒーを差し出す。
「あ……ありがとうございます。しんのすけさん」
あいちゃんも笑顔でコーヒーを受け取るが、その笑顔は、どこか無理やり作っているようにも見えた。
それを証明するかのように、オラから視線を外すやいなや、あいちゃんは再び、重い表情に戻していた。
どうするか迷ったが、オラは直接聞いてみることにした。
「……あいちゃん、最近疲れてるね……。何かあったの?」
「……少し、思うことがありまして……。いつも気を使わせてしまって、申し訳ありません……」
「いや、それはいいんだけど……何か悩んでいるなら、オラにでも相談してよ。出来る限り力になりたいし」
(本当に力になれるかはなんとも言えないけど……)
「……ありがとうございます、しんのすけさん」
あいちゃんは、再び力ない笑顔をオラに向けた。
何に悩んでいるかは分からない。だけど、オラは彼女のボディーガードであり、友達でもある。
相談してくれるかは分からないけど、もし言ってきた場合は、出来る限り力になろうと決意する。
……そう思った、わずか数日後のことだった……
「――え!?あいちゃんが行方不明!?」
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