【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。
2016/05/26
一人だと怖いだろうからと、眠るまでは一緒にいた。
やはり相当疲れていたのだろうか、彼女はすぐに寝息を立てていた。
一人、帰り道を歩く。
そして家に辿り着いた時、玄関先にその人がいることに気付いた。
「……やあ」
オラは、少し笑みを浮かべながら声をかける。
「……おかえりなさい、しんのすけさん……」
その人――あいちゃんもまた、オラに返事を返す。
「オラを待ってたの?どうせなら、家で待ってればよかったのに……」
「いいえ。帰りを待つのも、妻としての役目ですので……」
「だから、まだ妻じゃないって。……それより、さっきはありがとう」
一瞬、あいちゃんは面をくらったように驚く。
「さっき、オラ達が捕まってた時、外にいたんでしょ?」
「……いつ、気付かれましたか?」
「別に、気付いてはいないよ。……ただ、あいちゃんのことだ。車椅子に、何か仕込んでたんでしょ?」
「……お察しの通りです。ひまわりちゃんの車椅子には、ひまわりちゃんの心拍数を計測して、もし異常値が出た後に席を離れた時、背に向けて発信機を飛ばす仕組みがあり
ました」
「だろうね。天下の酢乙女グループの最新型だし、そんくらいの凄い機能はあると思ってたよ」
「………」
すると急に、あいちゃんは表情を暗くする。視線を下に向け、口を噛み締めていた。
そしてしばらく沈黙した後、静かに、口を開いた。
「……しんのすけさん、ごめんなさい。今回の件は、私のせいです」
「いや、別にあいちゃんのせいじゃ……」
「いいえ。こうなったのも、私が余計なことを広げたからです。
私自身の警護は、常に万全です。しかし、こんなに早く、しんのすけさん達に危害が及ぶとは……」
あいちゃんの表情は、沈みきっていた。
今彼女は、自分自身を激しく責めているのだろう。
「……あいちゃん、それは違うよ。そもそも、四郎さんは、金目当てにオラ達を連れ出したわけじゃないし」
「……そうなんですか?」
「うん。四郎さんは、ただ、助けてほしかったんだと思う。
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今の状態が辛くて苦しくて、どうすればいいのか分からなくて……それでも、毎日を過ごさなきゃいけない。彼は、疲れたんだよ。
だからこそ、オラの家に来たんだと思う。金目的ってのは、たぶん後付だろうね。
きっと、誰かに手を差し出して欲しかったんだと思う。自分の境遇を聞いて欲しかったんだと思う。
……最後に見た四郎さんの顔が、そう言ってた気がしたんだ。
もちろん、それは四郎さん本人じゃないと分からないだろうけど」
「……四郎さんは、しんのすけさんに救われたんですね」
「違うよあいちゃん。オラは、何もしてないんだ。ただ、少しだけ背中を押しただけ。
最後に足を踏み出したのは、四郎さん自身なんだよ」
「……そう、ですね……そういうことにしておきます」
あいちゃんは、ようやく笑みを浮かべた。
最後にあいちゃんは、深々と頭を下げる。
「――とにかく、本当にごめんなさい。これからは、気をつけるようにします」
「だから、それはいいって」
「……でも私、ますます気持ちが強くなりました。やっぱり私は、あなたと共にいようと思います」
「それは……どうなんだろ……」
「フフフ……言ったはずですよ?私、しつこいんです。――では、おやすみなさい……」
そしてあいちゃんは、微笑みを残して帰って行った。
何だかますます明日からの生活が不安になったが、今日は休むことにした。
家に入り、眠るひまわりの部屋を覗く。
「……お兄ちゃん……」
ひまわりは、目を閉じたままオラを呼んでいた。
……どうやら、寝言のようだ。
「……おやすみ、ひまわり……」
起こさないように呟いたオラは、ドアを閉める。
そして自分の寝室に行き、泥のように眠った。
……その日の夢は、久々に父ちゃんと母ちゃんが出て来た。
二人は、オラを見て笑っていた。とても、暖かい笑顔……とても、安らげる笑顔だった。
それから数日後、オラは仕事に翻弄されていた。
「――しんのすけさん!これとこれ!すぐにデータにまとめてください!」
「ふぁぁあいぃ……」
目の前には、次々と分厚い資料が山積みとなっていく。
酢乙女グループでは、新事業を進める。
その指揮を執るのが、あいちゃんとなっていた。
おかげで連日この有様。残業に次ぐ残業の毎日。家にはとりあえず帰って数時間程度寝るだけの毎日だった。
しかし今日が山場であり、明日以降は落ち着くとのこと。
オラは袖を捲り上げ、栄養剤を一気飲みする。
そしてパソコンに正対し、キーボードに覇気を込め―――!!
「しんのすけさん!これも追加!!」
……とにかく、頑張ってみる。
オフィスからは、今日もキーボードの音が鳴り響いていた。
クタクタに疲れ果て、家に帰る。
今日は連日の残業を考慮され、日中に退社させてくれた。
玄関を開けるも、もはや『ただいま』を言う元気すらもない。靴を脱ぐなり、這いつくばるように家の中に入って行った。
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