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【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。

      2016/05/26

「――それにしても珍しいね。風間くんがオラと飲みたいなんて……」

「まあ……たまには、な……」

街角の居酒屋で、オラと風間くんは酒を交わしていた。

その居酒屋では、仕事帰りのサラリーマンが、その日の疲れを癒すかのように顔を赤くして騒いでいた。

うるさくはあったけど、どこか幸せそうなその喧騒は、不思議と耳に入っても不快感はない。

そんな店の片隅に、オラと風間くんは座っていた。

今日飲みに誘ったのは他でもない。風間くんだった。

しかし彼は、どこか様子がおかしい。

何か、言いたいことでもあるようだ。

しばらくして、風間くんは意を決して言ってきた。

「……しんのすけ。お前に、話さなきゃならないことがあるんだ」

「……どうしたの?改まって……」

風間くんは、もう一度言葉を飲む。

そして、切り出した。

「……実は、あの日ひまちゃんが帰った時、仕事帰りじゃなかったんだ。

――僕と、会った後なんだよ……」

「……どういうこと?」

「それは……つまり……」

風間くんは、もう一度、息を吸い込む。

……それから先は、聞きたくなかった。

「――僕とひまちゃん、付き合ってるんだ」

「……」

店内が、静まり返った気がした。

他の言葉は、音は、何も耳に入らなかった。

「……!」

感情が、昂り始めたのが分かった。

たまらずオラは、乱雑にテーブルの上にお金を置き、店を飛び出した。

「し、しんのすけ!」


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風間くんの声が聞こえた。

でもオラは、何も聞きたくなかった。

夜の町のなかを、早足で歩く。一歩でも遠くに行きたかった。

ひまわりは、風間くんと会っていた。

そしてその帰り道、事故に遭った。

――たった一人で、帰る途中に……

「――おい!しんのすけ!」

街中から少し外れた公園で、風間くんはオラに追い付いた。

後ろから、風間くんの息が切れる音が聞こえる。ずっと走ってきたのだろう。

でも今は、顔を見たくなかった。

風間くんは、オラの背中に向けて話しかけてきた。

「……しんのすけ、黙っていたのは悪かったと思う。いつか言おうと思っていたんだ」

「……」

「でも僕は、真剣なんだ!真剣に、ひまちゃんを幸せにしたいんだ!だから――」

「――だから……なんなのさ……!」

「――!」

思わずオラは、風間くんに詰め寄る。そして気が付けば、彼の胸ぐらを掴んでいた。

「……オラが言いたいのは、そんなことじゃない!」

「――ッ!」

「どうしてひまわりを、一人で帰らせたんだよ!どうして、最後まで見送らなかったんだよ!

その帰りに――アンタと会った帰りに、ひまわりは事故に遭ったんだぞ!?

アンタが一緒なら、違ってたかもしれない!

――一生重荷を、背負うこともなかったかもしれないだぞ!?」

「……しんのすけ……」

……分かってる。

彼に、非はない。こんなのは、ただの八つ当たりだ。

それでもオラは、オラの心は、行き場のない怒りを、彼にぶつけるしかなかった。

そうしないと、頭がどうかなりそうだった。

「……ごめん、しんのすけ……」

風間くんは、静かにそう呟いた。

そしてオラは、投げ捨てるように彼の体を解放する。

風間くんは、力なく硬いアスファルトに座り込んでいた。

「……しんのすけ……」

「――止めてくれよ!」

「……!」

「……今は、何も聞きたくない……!」

そう言い捨てたオラは、そのまま公園を立ち去る。

振り返ることなく、風間くんを振り払うように……

家に帰る足取りは、とても重かった。

歩き慣れたはずの道は、とても遠く感じた。

その日は、月明かりが出ていて、道路にオラの影を作っていた。

……でも、その夜は、どこまでも深い闇色に染まっている気がした。

「……」

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