【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。
2016/05/26
………何か、言った。
「…………え?今なんて?」
すると、あいちゃんはさも当然のように言う。
「ですから、私のボディーガードを募集する試験ですよ。
――しんのすけさん、今日からあなたは、私のボディーガードですわ」
あいちゃんは、嬉しそうに微笑みかけてきた。
……でも、それどころじゃない……
「聞いてないよおおおおおおおおおおお……!!!」
オラの叫びは、建物の壁に反響し、大きく響き渡っていた……
「……お兄ちゃん、どうしたの?」
「……いや、別に……」
疲れ果てて、オラは家でぐったりしていた。
ボディーガードという名目でなってはいるが、ほとんど秘書のような存在だった。
あいちゃんのスケジュールを調整し、送迎をする。何か希望があれば、可能な限りそれに応える。
これまで、黒磯さんが一人でしていたことだ。
黒磯さんは感激していた。
何でも、ようやくあいちゃんも認める後継者が出来たとか。
黒磯さんに、仕事のいろはを叩きこまれる毎日だった。
(あの人、これをあいちゃんが小さい頃からやってたんだよな……タフなはずだ……)
いずれにしても、給料面はかなり上がった。以前勤めていた会社よりも、ずっと。
だがその分体力を消費するのは否めない。工場よりも、ずっと。
……その時、ひまわりが小さく呟いてきた。
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「――お兄ちゃんさ……なんか、私に隠してない?」
「……え?」
ひまわりの方を振り向いた。彼女は、とても辛そうな顔をしていた。
「……隠すって……」
「……私さ、今日、お兄ちゃんの会社に行ったんだよね。久々に、一緒に帰ろうって思って……」
「―――ッ!」
「上司の人に聞いたよ。――お兄ちゃんが、会社を辞めたこと……」
「そ、それは……」
ついに……気付かれてしまった。いずれ言おうと思っていたことだった。だが結果として、秘密にしていたとも言えるだろう。
ひまわりは、とても悲しそうに目を伏せていた。
「……だから言ったじゃん。お兄ちゃん、すぐなんでも背負っちゃうって……。何で私に何も言ってくれないの?
――そんなに、私が信じられない?」
「い、いや……そうじゃなくて……」
「――だったら何!?黙ってれば私のためになると思った!?お兄ちゃんはいつもそう!私に気を使って!!私に黙って!!」
「……」
「……いつも勝手に決めて、何も話してくれない……お兄ちゃんは、私の気持ち考えたことあるの!?」
……ひまわりの叫び声に、室内は静まり返った。
オラは、何も言えなかった。反論すら、出来なかった。
「……もういいよ……!!」
そう言い捨てると、ひまわりは2階の自分の部屋に駆けあがって行った。
オラは、その姿を見ることしか出来なかった。
「……ひまわり……」
「――しんのすけくん、どうかしましたか?」
車を運転してい黒磯さんは、ふいに話しかけて来た。
「え?」
「顔が、落ち込んでいますよ?」
「は、はあ……」
この人は、たぶん人をよく見てるんだと思う。長年この仕事をして培われた、洞察力みたいな。
この人の前だと、隠し事なんて出来ないな――
そう、思った。
「……ちょっと、妹とケンカしまして……」
「妹……ひまわりさんのことですか?」
「はい。隠し事が、ばれちゃったんですよ。心配かけないように黙ってたんですが、逆に心配かけちゃったみたいで……」
「……仕事の、ことですか?」
「……はい」
「………」
黒磯さんは、何かを考えていた。そして、急にハンドルを切る。
それは、本来向かうべき方向とは、違う方向だった。
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