【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。
2016/05/26
「……少し、休憩しましょう。この先に、海が見える見晴らしのいい波止場があります。コーヒーくらい、奢りますよ」
「はあ……」
波止場に着いたオラと黒磯さんは車を停め、海を眺める。
手にはコーヒー。
黒磯さんは、タバコを吸い始めた。
「……お嬢様には黙っててくださいね。タバコ、嫌いなんですよ」
「……分かりました」
オラと黒磯さんは、海を眺める。
遠くに見える雲はとても大きく、海鳥の声が耳に響き渡る。潮の香りは、どこか心地いい。
海を眺めながら、黒磯さんは話してきた。
「……私も、妻とケンカしたら、よくここに来るんですよ」
「……上尾先生――ああ、今は、黒磯先生でしたね。奥さんとですか?」
「はい。彼女、メガネを外すと気性が荒いでしょ?だから、しょっちゅう……」
黒磯さんは、照れ臭そうに話す。
黒磯さんと上尾先生は、結婚していた。もう、十数年前の話だ。
確かに、上尾先生はメガネを外すと強気になる。それでも、黒磯さんとは幸せに生活してるようだ。今の黒磯さんの表情が、それを物語る。
「……一緒に暮らしていれば、ケンカの一つや二つくらい、いつでもあります。相手に分かって欲しい。自分の気持ちを、言葉を、相手に伝えたい。
そんな想いが、ぶつかり合うのがケンカですから」
「………」
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「ひまわりさんだって、そうじゃありませんか?もちろん、しんのすけくんも。そういう時は、とことん話し合うべきです。
ケンカはしないに越したことはありません。……ですが、たまのケンカは、時にいい方向に転ぶこともあります。
――雨降って地固まる、ですよ」
「………」
すると黒磯さんは、タバコの煙を吐いた後、コーヒーを一口飲んだ。
「……今日は、家に帰ってあげてください。お嬢様には、私から説明しておきます」
「え?でも……」
「ひまわりさんに、よろしく言っておいてください」
黒磯さんは、そう言って笑っていた。サングラスの奥には、優しい眼差しが見えた。
オラは頭を下げて、その日は、家に帰った。
オラは家に帰って、食事の準備をした。
このところ忙しくて、手抜き料理ばかりを作っていた。
だから今日は、ここぞとばかりにひまわりの大好物を用意する。
今日は、とことんひまわりと話す……そう、決めていた。
考えてみれば、オラは、いつまでもひまわりを子供扱いし過ぎていた気がする。
彼女も、もう大人なんだ。
きちんと向き合って、とことん話してみようと思う。
食卓を、二人で囲んで。
「―――遅いな……」
……だが、ひまわりはなかなか帰ってこなかった。チラチラと時計を見るが、いっこうに戻らない。
電話にかけても通じない。彼女から、返信があることもなかった。
(いったい何してるんだよ……もしかして、事故か何かに……)
なんの音沙汰もない時間が、不安を駆り立てる。
しかし、どれだけ待っても、彼女が帰ることはなかった。
――そして、ひまわりが帰らないまま、朝を迎えた。
「……もう朝か……」
朝日が射し込む窓を見て、オラはふと呟く。
本当に、何があったのだろうか……
嫌な記憶が、脳裏に過る。
あの時、真夜中に電話が鳴り響き、変わり果てた父ちゃん達を迎えに行った。
しかし何か起こってるなら、電話があっててもいいはず……
「……帰ったら、こりゃ説教だな」
そう……きっと帰ってくる。
そしてひまわりは言うんだ。
「友達の家にいた」って……
――その時、家の電話が鳴り響いた。
「――ッ!」
一気に、心拍数が上昇したのが分かった。
ヨロヨロと立ち上がり、電話機に向かう。目と鼻の先にあるはずの電話機が、とても遠く感じた。
伸ばす腕が震える。
そして、受話器を耳に当てた……
「……もしもし、野原です……」
「あ!野原さんですか!?」
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