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【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。

      2016/05/26

そして番組は、ニュースに変わる。

『――本日夕方ころ、春日部市○○のコンビニエンスストアに、強盗が入りました』

(家からわりと近いな……物騒だな……)

『犯人は店員を包丁のようなもので切りつけ、金を出せ、と言いました。しかし店員が大声を出すと、男は何も盗らずに逃走しました。

県警は、強盗致傷事件として捜査を開始し、防犯カメラの映像を公開しました。

――こちらが、その映像です』

そしてテレビには、防犯カメラの映像が流れる。

……そしてオラは、そこに映る犯人が、誰かに似ていることに気が付いた。

(……あれ?これって……)

肥満体質、メガネ、ぼろぼろの服、ボサボサの髪……

「――ッ!?う、嘘だろ!?これって……まさか……!!」

「――ニュース、流れちゃったんだね……」

「――ッ!?」

突如、背後から四郎さんの声がかかる。

すぐに後ろを振り返ると、そこには、四郎さんが立っていた。魂の抜けた、脱け殻のような、弱々しい笑みを浮かべながら……

――そしてその手には、包丁が握られていた。

全身の毛が逆立った。心拍数は一気に上昇し、背中に嫌な汗が流れる。

「……よ、四郎さん……」

「……ごめんね……しんちゃん……」

――テレビでは、繰り返し防犯カメラの映像が流れる。

そしてそこに映るのは、四郎さんだった。

「――さて……しんちゃん、出発しようか……」

「……」

オラは、黙って車のエンジンをかけ、発車した。

後部座席には、包丁を持った四郎さん。そしてその隣には……

「……お、お兄ちゃん……」

ひまわりは、顔を真っ青にして震えていた。


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そんなひまわりの顔を見ていないのか、四郎さんは、生気のない顔のまま前を見ていた。

……あの後、オラたちの元へひまわりが来た。

そして彼女は車椅子を降ろされ、人質となった。

歩けない彼女がいる状況に、下手に動くわけにはいかなかった。

オラは四郎さんの指示に従い、どこへ向かうのか分からないまま、車を走らせていた。

「……四郎さん。とにかく、一度落ち着いて……」

「――いいからッ!!……今は、黙って運転しててよ。しんちゃん……」

「……分かりました」

今は、刺激しない方が良さそうだ。

オラはそれ以上のことは言わず、ただ車を走らせる。

……それにしても、四郎さんは、いったいどうしてこんなことを……

最後に会ったのは、オラが小学校に入校したくらいだろうか……

あれから、四郎さんに、何があったのだろう……

様々な疑問が浮かぶ。当然、答えなど分からない。

今はただ、ひまわりの身の安全のために、車を運転するしかなかった。

四郎さんの指示のもと、辿り着いたのは山間にある廃屋だった。

今日は雲が出ているのか、星の灯りはほとんどない。辺りは漆黒の闇に閉ざされ、木々がどれ程あるのかも分からない。今ある光は、四郎さんが持ってきた懐中電灯だけで
あった。

薄気味悪さもあったが、それ以上にこれからのことが怖かった。

オラとひまわりは、そこにある柱に縛り付けられていた。

「……本当にごめんね、しんちゃん、ひまわりちゃん……」

「……謝るくらいなら、解放してください。そして、一緒に自首しましょう。こんなことをしても、いずれ必ず捕まりますよ」

「……うん、そうかもね……。でも、僕はもう人を刺したんだ。……もう、引き返せないよ……」

「……四郎さん……。ならせめて、ひまわりだけは解放してください」

「お、お兄ちゃん!?」

「ひまわりは見ての通り、歩くことが出来ません。このまま一緒に行動しては、必ず足手まといになりますよ」

「………」

……自分で言った言葉に、胸が痛んだ。

――“歩けないひまわりは、足手まとい”――

本当は、口が裂けてもそんなことは言いたくなかった。

そんなこと思っていない。だけど、彼女が解放されるなら、その可能性に賭けてみた。

……だが四郎さんは、頷くことはなかった。

「……キミ達は、大切な人質だからね。悪いけど、解放はしないよ……」

(……くそ……ダメか……)

とにかく、四郎さんの狙いが分からない。

それを探るべく、オラは再び話しかけた。

「……どうしてオラ達を?」

すると四郎さんは、失笑するかのように、短く笑う。

「……そんなもの、決まってるじゃないか。

――金だよ……」

四郎さんは、ライトの光をオラに当てる。

眩しくて眉をひそめていると、四郎さんの声が響いた。

「噂で聞いたよ。――しんちゃん、キミ、酢乙女グループのご令嬢と婚約したらしいじゃない。

……凄いよね。日本トップレベルの大企業のご令嬢だよ?これから先、遊んで暮らせるだけの金が入るんだ。

……許せないよね。僕はこんなに苦しいのに、キミは想像も出来ないほど、裕福な人生を歩むんだ」

「……」

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