spread-story

【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。

      2016/05/26

「はい!送迎係の者が、少し目を離した隙にいなくなってしまったようで……」

会社に出勤したオラに、秘書の女性が慌てながら伝えてきた。

あいちゃんが、どこにいるか分からないという。

「GPSとかであいちゃんの場所は分からないんですか?」

「それが、あい様はGPS機能つきの携帯電話、バッグ、靴等をすべておいて行ってしまっているようで……」

(靴にまで……さすがはあいちゃん……)

などと感心している場合ではない。

いなくなったのは自宅敷地内から。そして、寸前まで送迎の車に乗車していた。

状況から考えるに、誘拐の線は薄いだろう。あいちゃん自らが、どこかへ行った――そう考えるのが、妥当だと思う。

ではいったい、彼女はどこに行ってしまったのか……

手がかりは、今のところない。

酢乙女家の監視体制を熟知している彼女にとって、その目を逃れるのは容易いのかもしれない。

「……とにかく、オラも探してみます」

「は、はい!よろしくお願いします!」

オラは急いで会社を飛び出した。

今のところは誘拐ではない。……だが、超大企業のご令嬢がうろつき回っていては、そういう“目”に変わる可能性だって十分考えられる。

(あいちゃん……どこ行ったんだよ……!)

不安な気持ちを抱えたまま、オラは高層ビルが立ち並ぶ街を走り回った。

「はあ……はあ……」

しばらく走り回ったオラの息は、すっかり上がってしまっていた。

行きそうなところを手当たり次第走りまわったが、結局あいちゃんの行方は掴めないままだった。

(もう少し、探す範囲を広げてみるか……)

オラは汗だくのスーツを着替えるべく、いったん家に向かった。

あいちゃんは、いったいどこに行ってしまったのか。そして、どうしていなくなってしまったのだろうか。

最近のあいちゃんの様子は、明らかにおかしかった。

オラに、もっと何か出来ることがあったのではないだろうか……

そんなことを考えながら自宅に戻ったオラは、ネクタイを緩めながら玄関を開ける。

今日は、ひまわりは風間くんと遊びに行っていて、誰もいなかった。

誰もいない家に、オラは一人帰りを伝える。

「……ただいま」

「おかえりなさい。しんのすけさん」

「ああ、ただいま、あいちゃん……」

オラは笑顔を見せる彼女に同じく笑顔を返して、家の奥に向かい…………

………………って

「えええええええええええええ!!??あいちゃん!!??」

誰もいないはずのオラの家には、いるはずのない、あいちゃんの姿があった。

オラは慌てて、あいちゃんに詰め寄った。


スポンサーリンク





「まあしんのすけさん、すごい汗……」

「え!?あ、ああ、ちょっと街中を走り回って……って、そうじゃなくてっ!!!

あいちゃん!!こんなとこで何してるの!!??」

「何をしているのか、と言われましても……。あ、そういえば、自宅の鍵を玄関のポストに入れておくのは、少しばかり無用心ですよ?」

「あ、ああ、ごめん………ってそうじゃなくてっ!!!

会社はたいへんなことになってるよ!!??ほら!すぐに一緒に会社に―――!!」

「――しんのすけさん」

「―――ッ!?」

突然、あいちゃんはオラの言葉を遮った。その言葉には、どこか迫力があった。オラは思わず、続きの言葉を飲み込んでしまった。

「……しんのすけさん、確かおっしゃってましたよね?出来るだけ、力になると……」

「……あ、ああ。言ったのは言ったけど……」

するとあいちゃんは、再びオラに笑顔を向けた。

「――でしたら、私と一緒に、駆け落ちをしてくださいませんか?」

「…………へ?」

……あいちゃん、今何か、口走ったような……

確か……駆け落ち、とか……

「……って、えええええええええええええええええ!!!???」

彼女の言葉を理解した後、本日二度目となるオラの叫びは、家中に響き渡るのだった。

「――私、こうして普通の電車に乗るの、初めてです!」

「へ、へえ……」

「少し遅くて揺れてますけど、こうしてゆっくり旅が出来るのも悪くはありませんね!」

「そ、そうだね……」

あいちゃんは、少し興奮気味だった。

オラ達が乗るのは、地方のローカル線……平日だったこともあり、乗客はまばらだ。

ぼやぁっと窓の景色を見ていたが、最初都会だった景色も徐々に建物の数が減っていき、今では長閑な景色が広がっている。

こうして景色が移り変わる様は、もしかしたら人生に通じるものがあるのかもしれない。

そんな柄にもないことを、頭の中に思い浮かべていた。

そんなオラとは違い、あいちゃんはどうやらこのローカル線というものが、よほど新鮮だったようだ。

椅子に座りながらも、必死に首を伸ばして、窓の外を眺めていた。

……なぜオラ達が、こうして電車に揺られているかというと、あいちゃんの頼みだったからだ。

~数時間前~

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51

この記事が面白かったら
いいね!しよう☆

最新情報をお届けします

 - 感動