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【日本中が涙した】22年後のクレヨンしんちゃん。 「しんのすけ」と「ひまわり」の成長した姿に涙。。。

      2016/05/26

「これは……車椅子?」

「はい。ですが、ただの車椅子ではありません。

……百聞は一見にしかず。――黒磯」

「はい……」

彼女の号令に、黒磯さんが車椅子に座る。

「まず、これは内部バッテリーを付けており、軽く車輪を回すだけで、スムーズに移動することが可能なんです」

「へぇ……電動自転車みたいなものか……」

「そして、最大の特徴が……」パチン

再び彼女は指を鳴らす。

すると、黒磯さんが座っている座席が、上に延び始めた。

「これは……」

「座席は、最大1mまで延びることが可能で、床下20?まで下げることもできます。これなら、車椅子の上り下りも容易く、少々の高いところの作業も出来る、新型車椅子なの
です」

「凄い……でも、なんだか悪いよ」

「それには及びません。先ほども言ったとおり、これはテスト運用です。月に一度レポートを提出してもらいます。

こちらも、貴重な資料にさせてもらいます」

「……分かった。ありがとう、あいちゃん」

「礼には及びません。……しんのすけさん、私に出来ることがあれば、何でも言ってくださいね」

そして、あいちゃんは帰っていった。

こうして、ひまわりを迎える準備は、着々と整いつつあった。

それから、ひまわりの退院の日を迎えた。

「うわぁ……!」

ひまわりは、家の変わりように声を上げる。

家の中は、すっかり変わっていた。


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タンスは全て一回り低いものに変え、大概のものが車椅子のままでも手の届く位置に置いた。

まるでリフォームでもしたかのような室内は、久しく家に戻らなかった彼女にとって、新鮮なものだろう。

「これなら、だいぶん過ごしやすくなると思うから」

「……うん。ありがとう」

言葉とは裏腹に、ひまわりからは、さっきまでの元気はなくなっていた。

顔も、どこか辛そうにしている。

「……どうした?」

「……ごめんね、お兄ちゃん。私のせいで、お兄ちゃんに迷惑をかけて……」

「……」

ひまわりは、完全に俯いてしまった。

それは、彼女の心からの言葉なのだろう。

――だからこそ、オラは彼女にデコピンをする。

「ていっ」

「あいたっ!」

ひまわりは、おでこを押さえたまま、目を丸くしてオラを見ていた。

「なに妙な遠慮してんだよ。オラとお前は他人か?」

「……」

「違うだろ。家族だろ。お前の、しょうもない遠慮なんて、オラには通じないからな。

お前が歩けないなら、オラが後ろを押してやる。オラは、お兄ちゃんだからな。

――だからお前も、妙な気を使うなよ」

「……うん……うん……!」

ひまわりは、涙を堪えながらずっと頷いていた。

……そうだ。オラは、ひまわりのお兄ちゃんなんだ。

オラが、ひまわりを支えるんだ。

改めて、そう決意した。

それからの生活は、色々大変だった。

まず、着替えることから大変だったようだ。

そしてトイレも、風呂も、今まで簡単にしていたことさえ、大きな労力を使うものになった。

足が使えないのは、これほどまでに自由が効かなくなるものかと驚く毎日だった。

かといって手伝おうとすれば、エッチだのスケベだの言われて追い返されることもしばしば。

しかしまあ、ひまわりは持ち前のガッツを武器に、少しずつその生活に慣れていった。

最近では、二人でよく買い物に行っている。

オラが車椅子を押して、そしてひまわりは笑うんだ。

皮肉な話かもしれない。

ひまわりが事故に遭う以前より、家族の時間が増え、会話も増えた。

もちろん、これで良かったなんてのは口が裂けても言わないし、思いもしない。これから先、ひまわりは、一生背負うことになるのだから。

――でも、重荷を無くすことは難しいけど、減らすことは出来る。

オラが、減らしてやるんだ。

そして、ひまわりが、その名前のように、いつまでも輝ける太陽であり続けるように、支えていく。

それが、家族ってものだろう。

……そうだよね?父ちゃん、母ちゃん……

――そんな、矢先のことだった。

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